昨日は「逆境から新規事業をスタートアップする 〜現場探訪編〜」という勉強会に参加してきました。
会場は永和システムマネジメントさん。初めて行きましたが、卓球台がドーンと真ん中にあってインパクトのあるスペースでした(笑)
DevLoveというコミュニティの主催する勉強会です。これまで何度かDevLove主催の勉強会に参加していますが、コミュニティについての説明を書いていなかったので、ここで触れておきます。DoorKeeperのDevLoveのコミュニティページから引用すると
DevLOVEとは、開発(Develop)を愛する人たちの集まりです。
この集まりでは、開発の楽しさを再発見し、広げるために、下記3つのコンセプトのもと、明日の開発の現場に役に立つことを目指した勉強会やイベントを開催しています。
開発の楽しさを発見しよう。広げよう。
開発の現場を前進させよう。
自分から越境しよう。
公式サイト: http://www.devlove.org
Facebookグループ: http://www.facebook.com/groups/devlovepark/
メーリングリスト: http://groups.google.co.jp/group/devlove-link
なぜ参加したか
自分で何かを始めたいと模索している中で、サービスを作りたいというのも候補の中にあるので、「新規事業をスタートアップする」にはどういう事が必要なのかというのを知りたくて参加しました。
参加してみて
この参加報告を書いていて思ったのですが、1回目のスライドが公開されているので、これを見てから参加したほうが良かったと思いました。(今回の発表とは関係なく、単に自分の前提知識の無さからそう思ったという意味です)
www.slideshare.net
73ページもある大作ですが、用語などを含めてとても参考になります。
で、今回も既に参加報告を 諏訪さん(@suwa_sh)がアップされています。毎回思いますが、内容も詳しく書かれていて凄いですね。。。
僕の方はもう少しざっくりとしたまとめを書こうと思います。
中堅受託システム開発企業での仮説検証活動
株式会社永和システムマネジメント 未来企画室室長 羽根田洋さん
内容メモ:
未来企画室
未来企画室のミッション
- 自社のストックを創ること
- 激しい環境変化の中で新規ビジネスと作り出す
活動の構成
- 事業づくり 事業部の強み
- 仕組みづくり 企画の作り方、進め方
- 文化づくり やりたいことをやってもいいんだという雰囲気作り
活動結果
- 10の社内のコラボレーション
- 22の社外コラボ
- 9個の事業企画
- 4つの文化づくり
プロジェクト NIWACHO
- 鮮魚流通の効率化とデータビジネスの可能性
今日はこの話をする。
今日の話
中堅受託システム開発企業での仮説検証活動
- 問題の検証
- 解決手段の検証
- 耐運用の検証
- 事業アイデアの収集
問題は現場で起きている
1年やってみての仮説検証モデルケース
企画づくり | ニーズ検証 | プロダクト開発 | マネタイズ | |
---|---|---|---|---|
どうやるか | ざっくり 仮説立案 |
観察・インタビュー で仮説検証 |
モック/スパイク で仮説検証 |
プロトタイプ で仮説検証|商用版開発 |
何を検証 するか |
問題の再現性 深刻度 |
解決手段 | 実運用で使えるか | ターゲット 販路 |
モデル ケース |
期間:1-2ヶ月 成果物: 課題と解決策のセット |
期間:1-3ヶ月 成果物: 事実に基づいた課題と解決策のセット |
期間:3-4ヶ月 成果物: 「利用」できるサービスと「初期ユーザ」 |
期間:都度 成果物: 「販売」できるプロダクトと「販路」 |
未来企画室 の活動 |
知識・体験の場作り 勉強会の主催: じぎょべん 部内イベント企画運営: 事例紹介 * 外部イベント紹介: SW、など |
仮説検証支援 コンセプト整理: 合宿ファシリ ヒアリング先紹介: 内部/外部の繋ぎ * ヒアリング内容づくり: ヒアリング同行 |
初期ユーザーづくり ユーザー候補紹介: マーケ支援: マーケに関わる実担当 * コンセプト練り直し |
販売チャネルづくり * 応相談: 一緒に考えます |
事業の背景(鮮魚流通の現状)
仕入れ/販売の情報が散乱し、かつ紙に書かれている
- せり/販売結果を関係者で突き合わせするために膨大な時間がかかる
- 仲卸本来の仕事(顧客対応や出荷業務)に集中できない
- 事業投資(6次化事業)に人員が割けない
- 季節によって必要人員にかなり波がある
ざっくり仮説立案
課題
- 帳面づくりに時間がかかる
- 二重入力問題
- 関係者で突合問題
- 競り落とした商品が行方不明
→ 仕事の平準化と付加価値仕事ができない
解決手段
- 情報一元管理と業務効率化(=業務を変えない/手間を増やさない)を両立した、鮮魚仲卸に特化した取引管理システム(MVP)
- 写真ベースの取引管理システム
ビジネスモデル展開
第1ステップ
第2ステップ
- データビジネスへの展開
- 産地市場と中央市場
解決手段は色々ある
まずは 卸と仲卸の突き合わせ を考えて進めてみる
解決手段
ユーザーの嬉しさ時間・コストの削減効果の試算
想定では仕入れ販売突き合わせと入力時間を半分に。
- 効率化された時間
- 別事業
- 別業務
バリューストリームが長い
漁師 → 漁協(市場) → 仲買人 → 卸 → 仲卸 → 小売・飲食
検証先の探し方
- サービスを使う service.visasq.com
- 全社に聞いてみる
- 社員の友達
- 社内の偉い人に聞いてみる
- 似たようなことをやっている他社紹介
- セミナー/展示会に参加してみる
- パートナー会
- 人脈ハブになる人に聞いてみる
- 市谷さん
- 個人人脈を使う(親戚/PTA/親/地元の友達…)
- スナックに漁師が集まる
観察・インタビューで仮説検証
よくよく聞いてみると。。。
- 帳面づくりは担当割りされていて二重入力は起きていない
- 担当者感の突き合わせではなく卸会社との突き合わせだった
- 福井のセリは特殊なやり方をしている
- 他県の仲卸と比べると帳面づくり問題はそれほど深刻ではない
- ただし、
- 卸との突き合わせに時間がかかるのは他県でも再現
モックで解決手段を表現する
見えるものがないとイメージできない
解決手段の検証
解決手段は色々ある
スパイクで解決手段を探る
- 課題 ⇔ 解決手段
- 何度もやり直し
- しかし、ITへの苦手意識、業務は変えられない
- やることを限定し、写真を撮るだけにする。これなら?
仮設現場で検証してみる
これを使っても効率化できない
- 写真で販売先も取り込もう
- セリの流れが速すぎて駄目
- 写真で取るだけにする
実際に使ってもらって検証してみる
- 最終的には手作業をかろうじて追い越した
- ITが伝統的な手作業を超えた瞬間
利用者視点でのフィードバックが得られる
- 写真を撮ったと思ったらブレてた
- 撮った写真と実物の確認しづらい
- 使う人が結構なベテランの人が多い
- 誤撮影をするとパニックになる
- ボタンををしたときの反応が鈍い
これらを更に改善
実際に使ってもらって検証してみる(その2)
ピークの現場で試してみた
- 検証者が実施
- 操作に慣れているということもあるが概ね従来の手作業の2倍程度のパフォーマンス
- 取引量が多くなるとサムネイルの写真と現物が判別がつかない
- 取引が完了しているものはひと目で分かるように
事業アイデアの収集
産地市場と中央市場
- 産地と中央の力関係があり、単純に仕組みで割り切れない
- いつ、なにが、どれだけ水揚げされているか、という情報があれば嬉しい
- 情報を小売に提供して宣伝に使うとか?
企画づくり → どこから来るの?
事業アイデアの集め方
2つの事業づくり
- 事業部初企画
- シーズから始める
- 企画室初企画
- ニーズから始める
協業モデルで困りごとを集める
受託開発案件の声掛けを事業アイデアに
生煮えだがアイデアは集まる
- 小規模インバウンド旅行代理店
- 太陽光パネル
- 電気工事屋さん
- 猫好きな人たち
アイデアを元にやってみた
- 全社にヒアリング
- 全社を対象にワークショップ
ProductOwner候補が現れてきた
- やりたいことをやってもいいんだという雰囲気作り
とはいえはじめは不安
問題は現場で起きているが新しい試みは結構ハード
- 売れるんだろうか?このまま進めて良いのか?
売れるかどうかほんとにわからないのだからまずは目の前のお客さんをほんとに喜ばせないとビジネスの拡大もないんじゃね?
まとめ
製品やサービスを持っていない受託システム開発企業の中で、どのように新規事業のアイデアを見つけ、仮説検証していったのかをお話します。自分自身もツテがなかった水産業をテーマにした仮説検証活動で、ヒアリング先を見つけるところから、いろんな現場を自分の目で見て感じ、仮説がどう変遷していったのかを苦労話しともにお届けします!
今回のセッションのアジェンダですが、本当に大変だけど面白いものだな、と思いました。 新規事業というと、どうしても頭の中で考えることが先行してしまいがちですが、こうやって一つ一つ仮設を立てて検証してくことがいかに大事なのかということがよくわかりました。
何が問題でどうしたいのかはユーザーに聞いて検証する
この事をもう一度考え直してみようと思いました。
おまけ
DevLOVEオリジナル缶詰 "海鮮・ジャーニー" をイベント会場で販売されるそうです。 note.mu
前回のイベントで聞いて今回買えるかなと期待していたのですが、今回は残念ながら買うことができませんでした。 次の参加時に買えるといいな。。。。