ふりかえり読本 場作り編
技術書典で購入した本の感想の3冊め。森一樹さんの「ふりかえり読本 場作り編」を読みました。
ふりかえりの種類
最初の章なのですが、ふりかえりとはという項にこんなことが書かれていて「なるほど、確かに」と思いました。
「過去の行動を見直し、未来の行動を決定する」という、未来をより良くしていくための前向きな活動です。ふりかえりと聞くと「過去の行いを反省する」という趣旨が強く感じられてしまうことが多いのですが、ふりかえりの本質は、過去を踏まえたうえで、未来を考えていくことにある
これはつまり、過去は過去なので反省したからと言って元に戻るわけではないのだから、次に同じことを繰り返さないようにするにはどうするかを考える、ということですよね。ちゃんと最初に視点を合わせておくことは大事なので、最初にこれを読んで納得できたことが自分としては良かったです。
その上で、ふりかえりの4分類として
- 最小単位である「ひとりのふりかえり」
- チームごとに行う「チームのふりかえり」
- チームが複数集まってできるプロジェクト・プロダクト単位で行われる「プロジェクト・プロダクトのふりかえり」
- 複数のプロジェクトを横断し、同じグループ・組織に所属するメンバーで行われる「グループ・組織のふりかえり」
というのが紹介されています。これらは目的や対象、期間によって分けられるもので、下に行くに従って対象範囲が広くなり、対象期間も長くなる、と。こうやって整理して見せてもらうと、ふりかえりと一言で言っても、目的や対象、期間が異なるのだから、それに合わせてやるべきことも変わるよな、と思いました。
チームにありがちな諸症状
ふりかえりをしない、うまく機能していない組織が抱える問題について書かれています。
- マンネリ化
- 反省会になる
- 忙しいのでふりかえりをスキップする
どれも確かによくある話だなぁと思います。 いま振り返ると、以前やってうまく行かなかったケースはだいたいこの3つのどれかでしたね。。。
ふりかえりの3つの目的と3ステップ
チームにありがちな諸症状は「ふりかえりの目的」をチーム全員が理解した上でふりかえりに臨むことでほとんどのケースで解消されるというところから、ふりかえりの目的について説明がされています。
ふりかえりには以下の3つの目的と3ステップがあります。
- 立ち止まる
- チームを成長させる
- プロセスをカイゼンする
それぞれの内容は本を購入して読んでいただきたいのですが、未来をより良くしていくための前向きな活動なので、
というところが大事なんだな、と思いました。
ふりかえりにおける場作りとは
この本のサブタイトルにもなっている場作りの話です。筆者の森さん曰く、ふりかえりの中で最も大事なものとして「場作り」だそうです。
ふりかえりの最終ゴールである「チームを成長させること」「プロセスをカイゼンすることを実現する」ためには、全員がフラットな関係性のもとお互いの意見を尊重し合う対話の結果として、チームによるチームのためのアクションが生まれる状態への下準備が必要で、それが「場作り」であると書かれています。具体的には
- 心理的な場作り / 前向きな対話をするための準備
- 物理的な場作り / 空間の準備
という2つの要素について述べられています。 心理的な場作りについては、6章でアクティビティについても触れられています。
チームのふりかえりの10の流れ
ふりかえりとはなにか、目的などを含めて一つ一つ確認してきたので、この章ではそれらを流れとして見ていく構成になっています。 それほど長くはない説明ですが、全体の流れを掴むのにいいなと思いました。
心理的な場作りのためのアクティビティ
この章は心理的な場作りのためのアクティビティについて、たくさん紹介されています。 ここのアクティビティの紹介はここではしませんが、ふりかえりの目的に応じて様々なアクティビティがあるんだな、ということが今更ながら分かったので、この本を買って読めたのは良かったです。
まとめ
ネタバレになっていないか心配ですが、、、この本は実際に現場でふりかえりを行うときに必要になる大事なことが詰まっていると思います。ふりかえりがうまくいかないとか、困ったときに立ち返って読み直すと、きっと色々助かるんじゃないでしょうか。個人的にはすごく参考になりました。